生命分子は0.2 nm程度の低分子から100 nm程度の高分子まで様々なサイズがあり、これらは理学及び工学の“化学分野”で研究が行われています。一方、医学、獣医学、農学、そして理学の一分野である“生物学分野”では、分子の集合体としてのタンパク質の生体内での働きを議論する分子生物学が主流となり、分子そのものの挙動を議論することは多くありません。逆もまた同じで、ナノスケールの分子の挙動のみではマクロまたはミクロな挙動でさえ議論は難しくなります。そこで、全体の研究を「基礎」、「応用」、そして「実用」ステージに分け、各ステージで創出された成果を融合することで新たな科学領域の創出を計画しました。例えば、基礎ステージでは「生命分子の設計」や「生命分子の特徴」に関する研究と、応用及び実用ステージで研究対象となる生命分子作用の結果生じる「細胞内での分子集合体の構築」、「病原体における生理作用」や「植物の成長因子」などマクロ又はミクロな挙動をグループ全体で情報共有することで、生命分子を介するあらゆる現象(生命分子インターネットワーク)の解明を目指してゆきます。
I. | 基礎ステージ | ||
(I-a) | 分子動態部門 | 藤井 健太 | 溶液中における分子動態解明 |
(I-b) | 反応分子部門 | 川本 拓治 | ラジカル活性種の発生と制御 |
(I-c) | 分子設計部門 | 西形 孝司 | 金属によるアミノ酸などのカルボン酸合成法開発 |
(I-d) | 計算化学部門 | 隅本 倫徳 | 量子化学計算を駆使した分子挙動の予測 |
II. | 応用ステージ | ||
(II-a) | 細胞部門 | 原 裕貴 | 細胞内構造・オルガネラのサイズ・機能制御機構の解明 |
(II-b) | 光反応部門 | 上條 真 | 太陽光から分子を作り出す画期的化学反応の開発 |
(II-c) | 機能物質部門 | 堂浦 智裕 | 細胞を解析・制御する物質の創製 |
III. | 実用ステージ | ||
(III-a) | 植物生産部門 | 佐合 悠貴 | 植物成長因子の制御 |
(III-b) | 感染症部門 | 高野 愛 | 感染症病原体の作用機序解明 |